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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「肥料のタイミング」(果菜類編)

2014.06.01 Mon

こんにちは。深町貴子です。

みなさまお元気ですか?
全国的に気温がぐんぐんと上昇中です。
例え半日陰のベランダでも、夢中になって作業していると、
熱中症にかかることがありますよ。
こまめに水分補給し、作業は涼しい早朝か夕方に行うようにしましょう。


さて、5月に植え付けた苗や種まきした植物たちは元気ですか?
植え付けからおよそ1ヶ月が経ちました。
トマトは青い実がたくさんなっている頃でしょうか。


1段目の実が大きくなったら、今が1回目の追肥です。
間違って植え付け直後から多くの肥料を与えてしまうと、茎が太くなりすぎたり、
葉が茂りすぎたりすることで、花が咲かなくなることがあります。
体が大きいとそれだけ栄養も多く必要になり、
結果的に花に栄養がまわらず、実がつかない現象がおきます。
植物体の大きさと施肥のタイミングやバランスは、
とても需要なのです。


同じ果菜類でもナスやピーマンはどうでしょう?
今は最初の実が1個なっている頃でしょうか?

ちょうど茎が最初に枝分れする場所に果実ができているはずです。
でも、その果実はできるだけ早めに収穫します。
最初の実だから…と、
嬉しさのあまり、なかなか収穫しない方がいらっしゃいますね。
大きくなるまで待ってはいけません。
一番下についている果実は、栄養を最初にたっぷりと受け取ってしまいます。
まだ葉数も少ない中で果実をならせると、自分で作る光合成の生産量が少ないので
成長も鈍り、たった1個の果実なのに、全体が疲れてしまいます。


さあ、ここで1回目の追肥です。

最初の果実が大きくなり始めたころに早めに収穫し
追肥を始めることで、次々に花が咲き、新芽に栄養を送ることができます。
新しい葉を増やし、光合成がしっかり行えるように助けるのです。


植物はよく考える生き物です。
たくさんの果実をならせ過ぎると、
「ん?このままでは体力が持たないぞ」と判断し、
自ら花を落として、身軽になろうとします。
猛暑がつづくと蒸散(葉っぱから水分を蒸発させる)活動が多すぎて体力が弱る時も、
暑さで土の表面が乾燥し、根が傷んでしまった時も、
やはり花が落ちます。
実がつかずに花が落ちるサインは、
植物が必死に何か防御策をしている時です。
そんな時は、植物と一緒に考えてみましょうね。


成長を見守る私たちは、
植物たちのそうした声に気付き、
今、肥料を与えてよいのか?
それとも肥料を与えずに株を休ませる時なのか?
よく観察して見極める必要がありますね。


肥料を効かせたい時というのは….
これから花が咲く、
これから果実が大きくなる、
これから根が肥大する、
これから結球する…といった成長の節目です。
「よし!がんばれよ!」と背中を押すのが
追肥のタイミングと思います。
これから〜...と言うように、変化が起こる前が大事なんです。


だれでも、未知の領域に入る時、
一歩踏み出す勇気がいるでしょ?
戦の前の腹ごしらえ?
変な例えかな???
まあ、例えは人それぞれ何でも良いのですが…
上手な施肥の方法とは、
長くダラダラと与えるのではなく、
成長段階の次のステージに入る時に、
ポンと背中を押して、勢いをつけてやること。
それが、施肥量を減らした効率の良い与え方です。


大事なことは、いつ休ませるか?ということ。
必ず、植物は「休みたい!」と言っています。


たくさん肥料を与えれば大きくなるかというと、そうではなくて、
結局、植物が吸収できなければ土の中に残り、
それが土壌汚染につながってしまうのです。


プランターの場合は、これから毎日水を与えるので、
どちらかと言えば、肥料を流してしまっている事の方が多いかな。
肥料を与えているのに、肥料不足が起こるという不思議な現象になります。


私たちがたくさん料理をつくっても、
食べきれなえれば、廃棄されてしまうのと同じです。
そんなのもったいないですよ。


水やり上手から施肥上手になって、
栽培上手になりましょう。
そして、いっぱい美しいもの、美味しいものを収穫しましょう!


次回は梅雨時のお話です。


深町貴子