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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「夏の暑さは野菜づくりで楽しく乗り越えよう」

2014.07.15 Tue

暑中お見舞い申し上げます。深町貴子です。
 

さらに…暑くなってきましたね。

梅雨明けはもうすぐでしょうか。

子供たちは夏休みが近いので、ソワソワしています。

梅雨入り前は冷夏の予想が出ていましたが、

結局、気象庁でも平年並みと修正され、

やっぱり今年の夏も暑いらしいですよ。



     

我が家では真っ白いゴーヤーがなりはじめました。

まずはグリーンカーテンをつくるため、

花を摘み、葉を茂らせてきました。

梅雨明け前に、どうにかカーテンが間に合った感じです。

緑の葉に真っ白い実がたくさんなることを想像して、

涼しんでおります。


夏に強いのはウリ科。

私たちの体を冷やしてくれるのも、

ウリ科野菜ですよね。

我が家ではゴーヤーの他にもキュウリ、

マクワウリやメロンやスイカがなりはじめました。



 



 

産毛が生えた小さな実が、みるみる大きくなっていく様子は、

嫌になりがちな夏の水やりを楽しくする要素にもなるんです。


しかしまあ…

また寝苦しい夜がやってくるかと思うと憂鬱ですね。

熱帯夜になると、上手く眠れないし、

翌日になっても疲れが取れない…なんてことが多くなります。

それは寝ている間も汗をかき、体力を消耗してしまうからです。


この症状は動物も植物も同じです。

気温が高いと植物の呼吸量が多くなり、その分体力を消耗します。

できるだけ夜間を涼しくすることが、生育を良くするコツなんです。


でもねえ….冷房の効いた部屋に植物を入れることもできないのに、

どうやって夜間を涼しくしてあげることができるの?と言いたいでしょ。

そりゃそうですよね。

日中はギラギラの太陽の熱で高温になり、

太陽光が地表に届けば地面を暖め、

コンクリートやプラスチックなどの物体にあたれば、建物や什器全体を暖めてしまいます。

プランターはできるだけ床面から離し、鉢底を熱源から遠ざけるようにしましょう。



 

プランターを花台の上に置き、直接床面からの熱を受けないようにしています。

すると鉢底の日陰部分は床面の温度と20℃以上の差が生まれていました。

実際にこの時の床面の表面温度は56℃ありました。


熱は温度の高いところから低い所へ移動します。

だから昼間は熱の逃げ場がないのでひたすら熱を蓄積し、

夜に太陽が落ちて気温が下がり始めると、蓄積していた熱を放出する…

壁や床からモワ〜とした熱が出てきます。


移動できるなら、半日陰にプランターを移動したり、

遮光ネットで日陰をつくり、日中を涼しく保てるように考える必要がありますね。


この熱をいかに下げることができるか?によって、

人も植物も快適に暮らせる環境になります。

植物が常に光を求めて枝葉を広げていくのは、

自分の足元に日陰の面積を広げていくことにも関係しています。

太陽光が地表に届かないように、自らの葉で遮り、

葉からの蒸散による気化熱で、周囲の温度を下げ、

地温が上がるのを防いでいるんですね。

植物を観察すればするほど賢い!って、そう思います。


夜に放射される熱を冷やすには?


実は簡単な方法があります。

それは昔から行われてきた打ち水です。

太陽が落ちてから水をまくと、

水が蒸発するときに熱を奪い、地面が冷えて、涼しくなります。

庭やベランダも植物に水をやるだけではなく、

地面や床にしっかり水をまくようにすると、

涼しくなって植物も人も快適になりますよ。


ちなみにナス科の野菜はこの暑さが苦手。

トマトやナス、ピーマンは、

急に花が咲かなくなってきます。

夏バテするんですよ。

だからなるべく早くに実を収穫し、傷んだ葉は全て取り除いてしまいます。

お盆過ぎには、新しい葉がどんどん出て、新しい花が咲き、実がなります。

実際には夏って梅雨明からお盆までですから、

意外と短いのですよね。


他に…植物の栽培の中で必要な暑さ対策は?というと、

枝すかし、葉すかしという作業があります。

植物は暑くなると、人間の汗と同じように水分を葉から蒸散させ、

体温を下げる努力をします。

その蒸散作用は株元に葉が多い植物ほど、蒸れてしまうことがあります。

例えばタイムやローズマリーなどです。

株元が蒸れると、中心部分の葉が枯れてきます。

植物にとっては葉を落とすことで、風通しを良くしているのです。


蒸れないように予め枝を間引くように剪定して、

風通しを良くすると適度な日当たりと、

快適な環境を手に入れ、

さらに草姿を綺麗に保つことができますよ。


 

ビタミンカラーのスイスチャードは暑さに強い野菜です。

うだる様な暑さでも、元気が出る原色系のカラーで、

お庭やベランダを元気に盛り上げましょう。


夏に弱いほうれん草の代用として考えるのも良いでしょう。

暑さに強い品種を選ぶことも、

野菜づくりの中では大切なことですからね。


夏は暑い!それは仕方がない事ですが、

植物が快適に過ごせる家は、人間にとっても快適です。

しかも楽しく元気に過ごせるように…

上手に夏を乗り越えられる工夫をしてみましょう。


では、まだまだ暑い日が続きますので、

皆様、熱中症にはお気をつけ下さいませ。



 

深町貴子