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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「虫との戦いはまだ続くの?…いえ、植付時期を選べば大丈夫。」

2013.10.01 Tue

こんにちは。深町貴子です。
先日、仕事で八ヶ岳を望む長野県蓼科に行ってきました。
もう衣替えの季節…きっと標高が高い八ヶ岳付近なら涼しいだろう…と、
厚着をしていったら、汗ばむほどの暑さでビックリ!
でも、夜風はさすがに冷たくて寒かったです。
この気温の寒暖差が花色を鮮やかにしてくれているのですね。


見てくださいな。コスモスの花色の美しい事!
こうして山から秋が徐々に下りてくるのだなあ〜と実感。
すぐそこまで、秋がやってきていることを確認してきた感じです。

私が住む神奈川の花き市場でも、鉢花のコスモス、ガーデンシクラメンの他、早くもポインセチアやストックなどが入荷してきました。野菜苗は、やや遅めの芽キャベツやキャベツ、ブロッコリー、ハクサイなどの苗が入荷。市場で流通する鉢花は全国各地から集まるので、若干季節よりも早めの花が多いのですが、野菜苗は気候をみて生産者さんが作っているので、さほど遠くない地域から集まり、植付適期の良質な苗を確保できます。
今年は残暑が厳しかったでしょ….だから、種まき時期が遅れたのだそうです。秋苗は慌てて買ったらだめなのよ〜
とは言いつつも…
9月半ばに定植した野菜苗は、やっぱりちょっと早かったよなあ〜。
早くに定植したから、大きくなるのも早いのですが….
害虫とは戦いの日々です。
毎日、昼も夜も、気がつけば割り箸を片手に虫取りしています。
緑色のアオムシと、ちょっと黒っぽいのはヨトウムシ、透明の幼虫はコナガです。バッタも葉を食べていました。
あ〜毎日、捕っても捕っても、きりがない!
でも、最近は害虫の量が減ったような…?
もう諦めたのか?

防虫ネットはかけていないのですよ。
えっ?なんで?

どれくらい害虫がいるか調べているからです。
あ〜そういうこと…。

この分だと、収穫までいけないかも?
レースのように穴だらけになると、光合成できる葉の面積が減ってしまいます。
そのために、生育スピードが遅くなり、
大きくなる前に冬が来てうまく育たないことがあるのです。



定植して20日目のハクサイです。
しばらくは良かったのですが、10日目を過ぎるとバリバリ食べられ始めました。
気温が高かったため、蝶が元気よく飛び回っていましたしね。
無防備な野菜の栽培は難しいです。
外葉に穴が空いていますが、中心部分の葉が垂直に立ってきました。
これが、これから結球が始まるサインですよ。
追肥はこの時に与えましょう。



こちらのミニキャベツも穴だらけ〜(涙)
外葉だけではなくて、中心の葉も食べられていました。
中心に害虫が入り込むと…割りばしが届かない!
小さな幼虫たちも1日で恐ろしいほどの大きさになるのですよ。
それだけ食欲旺盛...彼らはほとんど寝ずに食べ続けます。
最近、小さなものが見えなくて…..と言い訳。
その結果がこのありさま。

 

害虫対策は防虫ネットなどを利用しますが、
もう一つ大事なことは、害虫の発生時期からずらして植える!ということ。
気温が高ければ、それだけ昆虫たちも活発に行動していますが、
涼しくなれば被害は激減します。
葉を食害されやすい葉茎野菜は、最低気温が20℃を下回る頃に植え付けると、
楽に育てることができます。
もしも気温が下がり過ぎてしまったなら、
不織布をかけて保温をすると成長を助けてくれますよ。

穴だらけのハクサイとキャベツはこのままにして、
再度、新しい苗を定植してみるかな?
今週は台風の過ぎたころから涼しい気候になるらしいので、
防虫ネットを設置してリトライしてみましょう。…さて、どうなるかな?

前回の続きでもうひとつ…
秋ジャガイモは順調に育ち、たくさんの芽を出してきました。




でもねこのまま放っておくと、小さなジャガイモしか収穫できません。
なぜなら、芽の数が多く、栄養が分散してしまうからです。
たくさん葉がついて、たくさん光合成ができれば、収穫も多そうな気がしますよね。
ところが、それではダメなのです。

夏の暑さと冬の寒さが苦手なジャガイモは、
生きるために必要な栄養をイモに貯蔵して地上部を枯らし、
土の中で夏越しや冬越しをしようとします。
ジャガイモ自体は、できるだけ多くのイモをつくって、個体を多く残したいところですが、人間は大きなイモが欲しいという、欲張りな考えを持っています。

そこで、栽培上考えられたのが、「芽かき」という作業です。


たくさんの芽が15cm位に伸びたら、太くて丈夫そうな芽を選び、
残りは取り除きます。
株元(種イモの近く)から茎を手で折り取るのが一般的ですが、
難しい場合は無理せずハサミで切りましょう。
一つの種イモにつき、2本の芽(茎)を残します。
こうすることで、栄養が分散せずにイモを大きく育てることができます。

芽かきをしたら、株元に土を寄せます。
鉢植えの場合は、土を足す作業になります。
およそ8〜10cm程度、土を株元に寄せます。



あとは花が咲く頃まで放っておいても大丈夫。
追肥も必要ありません。

さて、これから秋がさらに深まる訳ですが、
最近、季節をカレンダーで考えてはいませんか?
季節は気候と連動しています。
気候は毎年変わります。
しかし栽培データはカレンダー式が多いですね。
だから栽培カレンダーはあくまで目安!と覚えておきましょう。
計画通りにはいかないのです。
植物の栽培は、植物の聞くのが一番!
この時期はヒガンバナに聞くといいですよ。
ヒガンバナが咲き始めたら、秋苗の準備や定植をしましょう。
今後のためにも、咲いている時に場所を確認しておくといいですね。

急激に寒くなるこの季節…
みなさま風邪に気をつけて、元気で楽しい園芸ライフを…。