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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「土の中の根っこの話」

2014.10.24 Fri

こんにちは。深町貴子です。
 



秋らしくなり、屋外での作業が気持ち良い季節となりました。
少し花でも植えてみようかな…

気温の寒暖差が大きくなると、花や葉の発色がとてもよくなります。
私はこの時期の青色が好きです。深みのある青に赤紫系の葉を合わせると、大人っぽい演出ができますね。
写真の花は「サルビア・インディゴスパイヤー」。ラベンダーセージとも呼ばれています。
一株では上へ横へと株張りは大いに暴れますが、数株寄せて枝を絡ませると、大株のような迫力がでます。
挿し色にカラーリーフを入れるのがおすすめ。写真は「レッドフラッシュ」アカバセンニチコウとも呼ばれます。
葉を観賞するものですが、長い茎の先に白い花がちらほら見える姿がかわいいですよ。
皆さんも自分なりの秋らしさを花で表現してみませんか?

さて、つい先日、「こんな時期に台風が来るなんて…」と誰もが思った事でしょう。
10月だというのに、大きな台風が2度も来るなんて…
自宅のベランダから何か飛んだりしないかと、ハラハラしました。
しかし、大変なのは台風が過ぎ去った後でした。
台風やゲリラ豪雨による猛烈な雨により、プランターの土が長い間水に浸かってしまい、その後の気温上昇で、根が大ケガ…
根が傷めば地上部にもじわりじわりと影響が出てきます。
長く水につかると、根は溺れて息ができなくなり、先端(根毛)から腐ってきます。
それにプランターの土は大量に水を通すと、肥料分も洗い流してしまうところがあります。
ザルのなかで土を洗うようなものです。そのため、大雨が続いた後に、葉色が急激に悪くなったら、肥料切れの疑いがあります。
でも、慌てて即効性の肥料を与えてはいけません。根が傷んでいれば傷口に塩を塗るようなものです。
追肥をする場合は、1週間ほど様子を見てから与えるか、葉面散布をおすすめします。

肥料は根から吸収するだけでなく、葉からも吸収できます。
とくに根痛みしたりしている場合は、葉面からの肥料吸収を期待しましょう。
葉面散布は風が少ない晴れた日の午前中に行い、気孔が多くある葉裏を中心にしっかりと散布します。

ん?、なんで風の少ない日でなければいけないの?
それはね…
風が強いと植物は水分を保持するために、気孔を閉じてしまうからなの。 例えば私たちの肌が長い間、風に当たっていると、肌がカサカサになりますよね。それは水分が失われるからです。
風の強い日に水やりや追肥を行っても、吸収されないの。それって、もったいないですよね。
だから、風が少ない日に行うのが正解ってわけ。

話しは変わるけれど、2回目の台風の前日、落花生が枯れたら困ると思って、慌てて収穫してしまいました。
でも、もう少し我慢すればよかったなあ…と後悔。ちょっと先回りし過ぎて、失敗しちゃったみたい。
まだ太ってない小さな莢がたくさんありました。う〜ごめんなさい。
それでも、ある程度はとれたので塩ゆでして食べました。美味ですねえ〜。




落花生はプランターでもちゃんとできるんですよ。
プランターの深さはあまり要りませんが、寄せ植えなどに使用するボール鉢など、土の表面積が大きいものがおすすめです。
四方に茎が伸びてその下に落花生ができますからね。

落花生はマメ科の植物。
マメ科の植物って肥料もあまり要らないし、丈夫だし、高い栄養価と成長の速さ、いっぱい収穫できるのも魅力ですよね。
そして何より、その働きがすごい!偉いのだ!

何がすごいって?誰が偉いって?
それはコレ。




なんだかわかるかな?
この写真は落花生の根っこの写真です。よくみると落花生の他に小さな粒々したものがたくさんついていますね。これは根粒菌。
根粒菌は土の中に住んでいるバクテリアです。彼らはマメ科植物の根を見つけると、集まってきて根の細胞に侵入して繁殖するため、
根の表面にコブのような住処(根粒)を作ってしまいます。
そう!この粒々の中で彼らは生きています。なんとも強引な話ですが、マメ科はこの根粒菌を歓迎しているようです。
根粒菌の侵入をなんなく許しているのも、仲良しだからですよね。



彼らは宿を借りるかわりに、空気中の窒素を植物にとって取り込みやすい形に変え、窒素肥料として与えているのです。
根粒菌は、土の中に普通に住んでいるのに、それ自身では窒素肥料を作り出すことができないの。
マメ科植物と出会い、共生関係になって初めて窒素肥料を作り出すことができるのです。不思議よね。
さらに窒素肥料分が多い土の中では、根粒菌は働かない。たぶん必要が無いからなのね。
痩せた土に生えるマメ科植物には、この力は偉大なのです。

世の中には様々な植物が、様々な場所で混雑して生きています。
こうしたマメ科植物と根粒バクテリアのような関係が、きっと多数存在し土を豊かにしていくのだと思います。
広い大地を動植物皆で守って自然界のバランスをとっているのでしょうね。

私は小さなプランターでさえも、なるべく植物たちを一人ぼっちにせず、隅に違う植物を植えることが多いです。
全く別の品種を植えることで、お互いに良い関係が築けるし、土を豊かにすることができるのですから。



写真はワケギとホウレンソウ。どちらもとてもよく育ちます。
これもネギ科の植物の根に集まるバクテリアを利用し、ホウレンソウの根と絡ませることで、
病気に強い丈夫な野菜を育てているのです。
植物たちは目に見えない地下で、バクテリアを通じて、お話ししているかのようです。
映画のアバタ―で見た世界ですね。

さて、今日から急激に寒くなるとか…
ベランダの植物たちにビニールかけるなど、防寒しなくちゃ…
次回は防寒対策の落とし穴についてお話ししますね。
ではまた!




深町貴子