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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「耳をすませて、空を見る…五感の話とメロンの話」

2015.8.11 Tue

こんにちは。深町貴子です。

立秋を過ぎたので、「残暑お見舞い…」という表現に変わりますね。




今年の猛暑はすさまじいものがありましたが、
気がつけば、もう夏も終わりって事なのですね。
こうして月に1〜2回、ブログを書いていると、
夏って短いなあ〜とつくづく感じます。
だって、前回は梅雨の話をしていて、これから夏に向かう話をしていたのに、
今月はもう夏が終わる話…季節の移り変わりは早いですね。

今朝は蝉の声が静かでした。
いつもは朝早くからミンミン...ジージー…と暑さを倍増するような鳴き声ですが、
ピタッと静かだったのです。

雨が降るからかな?
そう思って、ベランダから外に出て納得…。
とても涼しいのです。
25℃以下でした。

蝉は温度に敏感です。
暑すぎても寒すぎても蝉は鳴きません。
ちなみに鳴くのは雄だけ。
自分の存在を大きな声でアピールするために鳴いています。
雄は種類によって異なる温度範囲のなかで鳴きます。
おそらく産卵と関係しているものと思われます。

しばらくして久しぶりに雨がふり、
その後お日様が顔を出すと、温度が急上昇…
雨が降っていても、負けずに蝉が鳴いていました。
35℃以上になると、また静かになります。
面白いですね。
午前中はアブラゼミが鳴き、午後はミンミンゼミがよく鳴いていました。

夕方になればヒグラシが鳴きます。
こちらの蝉は明るさが関与しているとか…

日によって、あるいは時間によって、蝉の声が違って聴こえるのは、
鳴いている蝉の種類の割合が微妙に違うからなのです。
夏休みも後半に入りました…宿題がまだの方は、蝉の研究もおすすめよ。

あれ?そういえば今年ツクツクボウシの鳴き声聴いたかな?
大丈夫。
ツクツクボウシは晩夏から鳴きだすので、そろそろと思います。

まだまだ蝉の生態は分からない事が多いそうですが、
環境から生物の行動を知るのではなく、
生物を見たり、声を聴いたりして、行動から環境を知ることができます。
鈴虫が鳴くようになれば「秋近し…」ということですね。

さて、最近空見ていますか?
暑いときには、ギラギラとした太陽を見る気にもならないので、
なかなか空を見上げることがありませんが、
夏の終わりから雲の形が変わっていきます。
今は縦に伸びる入道雲を良く見かけますが、
涼しい風が吹くようになれば、空に雲がたなびく姿を見かけます。
今度は横に広がる雲の姿になるのですね。
秋によく見かけるうろこ雲は、気圧と関係しています。
見かけた翌日は雨だったり、風が吹いたりと、
天気があまり良くない事をうろこ雲が教えてくれます。

最近はゲリラ豪雨など、急な天候悪化があるため、
様々な事前情報を提供してくれるサービスがあります。
屋外で作業する者にとっては、とても便利なサービスですが、
それでも、風の匂いや虫の声、雲の動きなど
私たちはもっと五感を広げ、
自然の声を聴く力を身に付ける必要があると思います。

五感を鍛えるには園芸が一番!
土を触り、風を感じ、動植物の動きを肌で感じていれば、
きっとすごい能力を発揮するかも?
それには「自然を意識する」ことが大切ですね。

育てる作物については、育種が進んで、
耐暑性の強い品種がまだまだ出てくるのだろうと思います。
過酷な環境でも耐えられる品種や生物が生き残っていくのです。

そうそう…前回のブログで紹介したミニメロンはついに収穫期を迎えました。
受粉日から37日目になります。
我が家の猛烈に熱いコンクリートのバルコニーでも育つなんて、
暑さにとても強い品種(サカタのタネ:ころたん)と言えます。



いい匂いだ〜
完熟になると黄色から山吹色になり、ころんと枝から外れてしまいます。
落ちて割れないように、ネットでしっかり守っておきます。
上の写真のように8月に収穫となった鉢は1株から2個収穫します。

でも、今年のミニメロンはまだまだ楽しめそう。
あと5個。別の鉢で順調に大きくなっています。



今年は大豊作ね!

いつもは2番目に咲いた雌花に受粉していました。
株への負担を考え、1株からは2〜3個の収穫を心がけてきました。
それが今年は、ちょっとタイミングを逃してしまった…というのが本当の理由なのですが、
かなり高い位置で3番目に咲く雌花を待っての受粉となりました。
そもそも何でタイミングを逃したかと言えば、
冬から張りっぱなしだったミニ温室のなかで、ミニメロンを育てていたら、
大きくなり過ぎて取り出せなくなってしまい、しかたなくそのまま育てました。
ビニールを外したのも、忙しくて梅雨明け後…
おかげでうどん粉病の被害も少なかったのです。
一番気温が高いときで、受粉できるのかしら?と心配しましたが、
ハチやアブ、ハエたちが良く働いてくれました。



となりにラベンダーが長く咲いていて、それも良かったのでしょう。
ハナバチ(写真は熊蜂)がよく花粉を集めていました。
たぶんメロンの花にも立ち寄ってくれたことでしょう。

メロンの株は大きく生長し、葉の枚数も多く、体力が余っているように見受けられました。
メロンのほうから「早く早く〜受粉しなくちゃ」と声が聞こえたような…?
それぐらい、一斉に雄花と雌花がたくさん咲いたのです。
いっきに7個ぐらい受粉に成功してしまい、摘果して5個選びました。
気温の高さも手伝って、成長スピードが速い。
つるの先端は摘心しましたので、果実はみるみる大きくなっていきます。

今後の楽しみは1株から2個収穫したメロンと
5個収穫したメロンの甘さに違いがあるか?ですかね。
果実の大きさはあまり違いがありません。

葉数が違うと、こんなに育てていて楽なのかと思ってしまいます。
光合成の生産量が違うからでしょうね。
植物って偉いなあ…






深町貴子