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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「ベランダハーブでなんかできたかも?」

2015.9.25 Fri

こんにちは。深町貴子です。

お盆を過ぎたころから、ほとんど晴れ間はなく、雨や雲の日が続きました。
こんなに毎日天気が悪くては、また野菜やお米が高騰するのかしら..と
内心はドキドキしています。

9月は、晴れれば気温が高く、台風や秋雨の影響で、
地面には水がたっぷり含まれていて、蒸れやすい状態です。
立派に茂った植物も、夏の終わりまでに葉を透かしたり、枝を透かしていないと、
株元から蒸れて、いっきに下葉から枯れてくるの。
そんな中でも元気に育っていたのは蒸し暑さに強い植物たち。




ふと見ると、ベランダにターメリックの花が咲いていました。
雨が苞の中に吸い込まれていきます。
たっぷりの水を吸収して、花は満足げでした。
この植物はインド原産。
暑さと湿気には強いのです。

ターメリックの和名はウコン。
でもウコンの中には、春ウコンと秋ウコンがあります。
花の咲く時期でその呼び名があります。
カレー粉になるのは苦みが少ない秋ウコン。まさに今咲いているこの子。

春に咲くウコンは苦みが強く、健康食品に使われます。
「苦っ!でも体に良い」となるのでしょうね。笑

この時期、土から掘り出したり、刈り込んで収穫するのはハーブ類。
開花前後に薬効が高くなることや、
冬が来る前に保存しておくため、秋に収穫するものが多いのです。

ターメリックはショウガ科の植物。
収穫は土の中の塊茎を掘り上げます。
見た目はショウガそのものですが、切ると黄色やオレンジ色となっています。
もう少し花を楽しんだら、掘り上げてみるかな。

で、こちらも先日掘り上げたハーブ。



ん?何コレ?ゴボウ?ニンジン?

長くて、微妙な太さのハーブの正体は…
ホースラディッシュです。



葉はカラシナみたいです。
この時期の葉は、硬くて食味が悪いです。
生葉を食べるには若葉が良いですね。

ホースラディッシュは別名セイヨウワサビ。
根をすりおろすと、爽やかな香りとツンとくる辛さで、とても美味しいです。
ローストビーフに欠かせない味ですね。

ゴボウのような皮を削ると…



やっぱりゴボウだった…。
でも、真っ白だね。とてもきれい。

ドレッシングやソースにホースラディッシュを入れると、
パンチの利いたソースになります。辛さは一瞬で、スッと消えてしまいます。それがまたいい!
これを知ると、お料理の幅が広がりますね。

ホースラディッシュの辛み成分はシニグリンと呼ばれるもの。加水分解されるとカラシ油になります。
強い殺菌作用があるので、植えれば病原菌を寄せつけない、畑の見張り役になるのですよ。
でもね…これを畑に植えたら...えらいことになります。

とてもたくましい植物で、一度生えてしまったら、根絶は難しいと言われるぐらいの植物なのです。
なぜなら、土の中に少しでも根の一部があれば、そこから芽を出して増えるからです。だから私は必ず鉢植えで育てます。
太い根にはなりませんが、使うときは少量ですし、必要な時に引っこ抜いておろして使います。おろしたての味は格別ですよ。

う〜ん。
それでも、ホースラディッシュはどんどん出来て、余ってしまうんだよね
もったいない!
それでは、畑の見張り役の威力がどの程度のものなのか、抽出液を作ってみよう。
熱を加えると香りが飛んでしまうので、
ペットボトルに水を入れ、根を刻んだものを入れ、屋外で発酵させてみました。

ひゃー!強烈な匂いです。
もう少しいい匂いにならないかな?とレモングラスの茎も入れてみました。
刺激が強いので、肌に触れるとかぶれる可能性もあります。
気をつけなくちゃ。



このあと、コーヒーろ紙で濾して、噴霧器の中に入れ、
アブラムシやヨトウガの幼虫がついた花苗に噴霧してみました。

すると…
驚いたことに、ボトボトとヨトウガの幼虫が落ちてきました。
ん?これは、よくある「死んだふり」か?
良くあるのは、カブラハバチの幼虫。いつも死んだふりをして、逃げてしまうのです。

も、もしや同じなのか?

いや、どうやら違います。
下に落ちてもがいてる。
痛いのか?辛いのか?苦しいのか?
良くわからないけれど、最終的には2〜3日で、きれいさっぱりいなくなりました。
アブラムシもね。

テキトーにつくったわりには、すごくない?
たまたま、花苗(ニチニチソウ、サルビア、ベゴニア)の害虫たちにとっては、
すごく効いたみたい。

市販の殺虫剤や忌避剤には遠く及びませんが、
こまめに散布すると、それなりの効果が期待できそうです。
ハーブ類には、まだまだ面白いものがありそう。
いろいろ試して、遊んでみよう。

ハーブは畑のお医者さん。
植物も昆虫も、みんなが元気でいられるように
自然のバランスをとってくれる不思議な力があるようです。






深町貴子