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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「ベランダ野菜で心も体も温めたい?」

2015.11.04 Wed

こんにちは。深町貴子です。

10月も終わり…あと残すところカレンダーは2枚。
ああ、毎年暮れに向かって同じようなことをつぶやいている気がします。
明日から11月に突入なわけですが、今年はまだ暖かいですね。
朝晩は冷え込みますが、日中はほとんど上着が要りませんね。
それでも冬はやってくるのだろうなあ….寒くなるのかあ…?
気象庁によると、関東では例年より暖かいそうですが、降水量は多いとの発表がありました。
冷え込む日があれば、雨が雪になる可能性もあるということか?今年はベランダの雪対策も考えておこうかな。

寒がりの私は冬がちょっと苦手です。
それで….と言う訳でもないけれど、毎年せっせとつくる野菜があります。
それはショウガ。
寒い冬に生姜糖を作ってつまむのが好きなんです。
自分がショウガが好きと言うことと、生姜が育ちやすい場所があるのでやっているのかなあ。

えっ?ベランダに?

そうそう。そうなのです。
我が家にはベランダの手すり壁が障壁となって、いつも日照時間が短い、
ちょっとジメッとした場所があって、野菜が上手く育たない所があるのです。
でも、生姜はバッチリ育ちます。
生姜は熱帯性の植物。暑さには強いので、ベランダの強烈な暑さでも元気に育ちます。
日当たりが悪いのに、暑いのか?と不思議に思われるでしょうね。
コンクリートのベランダは輻射熱がすごくて、夜遅くまで暑さが続きます。 ベランダの角になるので風通しも悪く、蒸し暑さがスゴイのです。
でもショウガは高温多湿を好む植物なので、多少の蒸れはヘッチャラです。

しかし、そもそもプランターでも育つのかしら?
草丈だって高くなるはずなのに?畑だったら80cmぐらいにはなりますよ。

大丈夫。根は浅根性なので、プランターでも育てることができます。
根の張りによって(プランターの深さによって)草丈は変わります。
浅根性といっても、深くまで根が伸びれば、株も安定するので、草丈が伸びます。
しかしプランターの深さ15cm程度なら50〜60cm程度ですね




春、「種ショウガ」を園芸店で手に入れ、土に埋めてあとは待つだけです。
乾燥してしまうと、根が太らないので、夏に水切れを起こさないように注意します。
すると秋には必ず収穫できます。新しいショウガは種ショウガの上にできます。
こんな風にね



写真のショウガは小ショウガです。
茶色い部分が種ショウガで、上に乗っているように出来ているのが新しくできたショウガ(新生姜)になります。
秋に地上の葉が枯れたら、掘り上げて根生姜として収穫します。
今年はまだ暖かいので葉が枯れていませんが、私の胃袋が枯れそうなの?で、待てずに少しずつ掘り上げて収穫しています。
淡いクリーム色の新生姜は香りがよくて、柔らかくて、とても美味しいのです。

ショウガには小ショウガ、中ショウガ、大ショウガの分類があります。
そのままズバリ大きさの違いです。
小ショウガや中ショウガは、夏に間引きを兼ねて葉つきのまま生姜を収穫し、はじかみや酢の物に利用します。
これも美味しい!



写真が前後しちゃうけれど、↑こちらが葉生姜。
夏に折り取って収穫します。香りがとてもよくて、辛さはマイルド。

大生姜は途中で収穫したりせずに、最後まで大きく育てます。
ショウガは気温が15℃を下まわると葉がいっきに枯れ、それ以上大きくはならないので、
大生姜は日照期間が長くとれる地域(温暖な地域)が適しています。
そのほうが、ギリギリまで根を太らせることができるからです。

我が家は北向きのベランダなので、秋になると寒くなるのが早い場所です。
だから育てられるの小ショウガか中ショウガだけ。
それでも十分な大きさになります。



↑こちらの写真は中ショウガ。ちょっと大きいでしょ。
こんなに小さなプランターでも育てられるのですよ。
深さは10cm程度しかありません。
もちろん、おおきなプランターの方が、もっとたくさん収穫できるのは事実ですが、
環境条件の悪いベランダでは鉢を動かすことが多いので、コンパクトに育てたほうが私が楽なのです。



↑こっちはちょっと大きなプランターで育ててみました。
深さは15cmですが、大きさが50×60cmぐらいあります。
そこに6個ぐらい種ショウガを植えました。
こうしてみると、右下の種ショウガ1個から、プランターでも3〜4倍にはなるのだから、お得ですよね。
手間や水道代があるから、果たしてお得か?と言われることがありますが…絶対お得よ。
なぜって、新鮮さや美味しさが全く違うもの。
掘りたてのショウガなんて育てていないと食べられないし、新鮮だから栄養価も違う。
冷蔵庫にも入れていないから、電気代もかかっていない。
なにより、育ててきた満足感(あんまり手間かからないけれど…)があるもの。

生姜と言えば体を温める….というのは、皆様よくご存じの事。
ところが最近、生の生姜は体を冷やすからダメ…。なんていう話を聞くことがあります。
でも体を直接冷やすわけではないので、誤解のないようにね。
手足が冷たい冷え性の人って、血行が悪くて体の中心に熱が滞っていることがあるのだそうです。
ショウガは血行を良くすることで熱が移動し、熱くなった部分は発汗して熱を下げようとするから、体が冷えてくるのだそうですよ。
つまり、体の熱のバランスを良くしてくれるのね。

生の生姜は抗菌作用が強いので、食べすぎると胃が荒れるから、気をつけてね。
できればお料理など加熱して食べる方が体には良いそうです。

私は生姜糖をつくって、お菓子として食べたり、生姜湯にして楽しんでます。
通常の根生姜でつくると辛いので、私は新生姜で生姜糖をつくります。贅沢でしょ。



作り方は簡単。
生姜と同量(甘さ控えめにする場合は半量から3/4程度)の砂糖を用意して、生姜はスライスします。
それを水から茹でて沸騰したらお湯を捨て、また水から茹でてを4〜5回繰り返したら、
最後お湯を切ったところに砂糖を入れて煮詰め、砂糖が結晶化したら出来上がりです。
バットに広げて冷まし、グラニュー糖をまぶしてくっつかないようにします。
コーヒー、紅茶、お茶、なんでも合いますよ。

寒い日にあたたかい飲み物を飲んで、息を白くしながら迎える朝が私は好きです。
生姜は寒がりな私を温めてくれる大事な野菜。
冬が苦手な私ですが、最近は生姜のおかげで冬が楽しみでもあるのかも。
収穫する野菜で季節を感じるのは、栽培して旬な野菜を知ってこその話。
野菜は1年中あります。ナスやトマトだけじゃないので、ぜひ、秋冬も家庭菜園で楽しんでいきましょう。






深町貴子