神奈川県川崎市生まれ。 東京農業大学短期大学部卒業 園芸家 有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役 グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー 東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)
現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。 http://www.taka-greenfields.com/site/
こんにちは。深町貴子です。 1月にドカ雪が降ったものの、やっぱり暖かい気がします。 子供の頃は毎日のように霜柱を踏んで歩いたのに、最近は霜すら降りていない。 先日の雪が降った日、「ザクザクと音をたてて歩くのは、久しぶりだった…」と、 学校から帰ってきた息子に言われ、へ〜そうなんだ…。と、私は妙に感心してしまいました。 そういう、当たり前だけれど、大切な季節の感覚を この子はちゃんと忘れていないのだと。 マンションに住んで15年になります。 コンクリートに囲まれたベランダと、ほとんど舗装された道路の上しか歩いていない私は、 土の上を歩いて通う息子がうらやましく思えました。 まあ、土の上と言っても、たった1ヶ所、数メートルなのですけれどね。 我が家には庭がないので、 地面から感じる独特の感触や匂いをそういえば感じていない自分に気がつきました。 ああ、もちろん仕事で畑に行ったり、公園に行ったり、様々な庭を歩きますが、 日々の生活では、確かに歩いていないのです。園芸家なのに…? ベランダで大量の鉢植え植物を育てていて、 霜や霜柱がしっかり立っている姿も見るのになあ〜。 どうしても、その上を歩きたい… 思わず出た行動は、鉢の上に足を載せてみること。 ザクッと小さな音がしました。 鉢土に自分の足跡を付けただけなのですが、 なんとも幸せな気分になりました。 こうして、年に何回か鉢を割ることがあります。(笑) 植物の根っこってね、この大地の中(下)を走り回っているのです。 私たちには土のなかは見えませんが、無数の根が伸びて、土を耕し、 水や養分を吸い上げ、微生物を育てている…と考えると、 想像するだけでゾクゾクするの。 大地は植物によって生きているんだって思うから。 気持ち悪いという意味じゃないですよ。 感動してゾクゾクしちゃうの。 残念ながら、鉢植えの植物は広く根が走り回るようなスペースはなく、 限られた土の中で伸びなければなりません。 鉢土の中で一番空気が吸える場所は?と聞かれたら、 それは内側の側面です。 ポットから苗を取り出すと、決まって側面にグルグルときれいに根が回っているでしょ。 あれは根の行き場がないだけではなくて、自分でポットや鉢の内側に空間をつくり、 呼吸できる空間を確保しているの。 だから、水やりをするときには、必ず鉢内側の縁に沿って水をやってください。 株元には水を吸収するための根はないのです。 株もとにある根の役割は、株が倒れないように支えることなのです。 だから、鉢植えの水やりは鉢縁に沿って、ゆっくりと与えること!と覚えます。 でも、待てよ… 水耕栽培はどうなるの? 常に水が入っているのだから、水切れさえしなければ、 とくに気をつけることってないのかな? いやいや….気をつけることはたくさんありますよ。 土で植物を育てる場合と水だけで育てる場合… とても大きな違いは空気です。 根は呼吸する場所。 ずっと水の中にいたら、溺れてしまいます。 だから空気を強制的にいれるか、こまめに新しい水に取り換えます。 そして土の中には多くの微生物が住んでいるために、 微量要素がたくさん含まれていますが、水の中にはありません。 だから水耕栽培専用の肥料が必要になります。 さらに水耕栽培で注意する事は、水に光を当てない事。 水耕栽培の根っこってとっても綺麗で魅力的です。 私はこれを眺めるのがとても大好き…でも、ずっと眺めていてはいけません。 水の中に光が通って、藻が生えてしまうからです。 肥料分のたっぷり入った水は、とくに藻が生えやすいです。 藻が生えるとなぜ悪いのか? 藻も光合成をします。水の中で光合成をすれば酸素をつくりだしてくれます。 ここまではありがたい話のように聞こえます。 ところが夜になれば同じように呼吸をします。酸素をどんどんと吸収してしまうため、育てている植物の根に必要な酸素を奪ってしまうのです。 その為、藻が増えすぎると、栽培している植物は窒息して生育が悪くなるのです。 そうならないために、光を当てない事なのです。 これはペットボトルカバーです。 冬仕様であったかい感じでしょ。かわいい〜 もちろん、箱に入れるだけでもOKです。 こうすれば、前月のブログでお見せした、台所スポンジに種を蒔いただけの野菜も、 しっかりした苗になり、最終的には立派な株になるのです。 暇さえあれば、スポンジに種まきして遊んでいる私。 だれでもできるので、やってみてね。 あ、そうそう。 台所スポンジを買いに行くと、2つのタイプがあることに気がつきました。 「ソフトタイプ」と「ハードタイプ」と言うものがあるのです。 研磨する不織布部分が硬いものとそうでないものがあるのです。 水耕栽培の苗をつくる時は「ソフトタイプ」の方が、芽が出やすいことが最近わかりました! 挑戦する時はよく見て買ってね。 水耕栽培は土の栽培では見ることのない根っこの様子に注意して 根きりや水質・酸素保持など、新たな作業が必要になります。 地上よりも地下の様子をよく観察して、水耕栽培上手になりましょう。
深町貴子
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