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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「長生きキュウリの話」

2016.09.07 Wed

こんにちは。深町貴子です。
残暑が厳しいと感じる今日この頃です。
立て続けに台風がやってきて、各地で大きな被害も出ました。
地球はこの先どうなるのだろうと、空を見上げては不安が募ります。
しかし、植物たちを見ていると、
台風でなぎ倒されても、翌日には必死に立ち上がろうとする姿に出会います。
それでも今を生きる…そんなメッセージに聞こえます。

我が家のベランダ菜園は、
春から育ててきた果菜類が夏の暑さでお疲れ気味です。
ミニトマトは猛暑になる前に栽培を終了しました。
暑さでトマトが煮えた?感じです。
調理用に使うイタリアントマトは皮が厚いせいか、暑さに強いですね。

さて今日、紹介したいのは我が家のキュウリのつよし君です。
つよし君が種まきされたのは1月のこと。
植付けしたのは3月で、なかなか大きくなりませんでした。
それはそのはず…。だって寒いんですもの。



それでも雌花が咲き始め、収穫が始まったのは4月に入ってからでした。



一般的な普通のキュウリ品種ですが、鉢は18cmの6号で育てていました。
通常なら、あり得ないですよね。
だって、キュウリの根の張りは浅いけれど、広く張る性質なため、
鉢は大きめを選択するものです。

ではなぜ?小さい鉢を選んだの?
う〜ん。
単純に野菜の盆栽は作れるのかなあ?と思ったのです。
盆栽といっても、食べるキュウリが小さくなっては嫌で、
コンパクトに育ててみたい….という願望だけです。

野菜をプランターで育てるとなると、
大きな野菜用プランターを選ぶことが当たり前となっています。
でも、私は腰が悪くてね….
土を軽くしてみたり、鉢の素材を紙にしてみたり…
軽量化に努力してきました。
でも、多少軽くなっても、やっぱり大きい…やっぱり重いのです。

そこで、いっそのこと小さな鉢で育てたらどうなるのかな?という疑問から、
小さく作る栽培法を研究しようと思いました。



4月まで無加温のサンルームで育てました。
普通サイズのキュウリが1本ずつゆっくりとなりました。
暖かくなってきたところで、屋外のベランダで育てるようにしました。

5月に入ると、近所のホームセンターでも苗が販売されるようになり、
購入してもう一鉢に植え付けました。
写真は6月のものです。



左が6号の鉢で育てているつよし君、右が一般的な10号鉢サイズのキュウリです。
ツルの長さはつよし君の方が断然長いです。



こんな感じで、鉢の植えにぐるぐる巻きにしていました。



6月の後半には立派なキュウリが次々と実るようになりました。
しかし7月になると厳しい暑さが襲い、
何度も水切れを起こすようになりました。
葉も傷み…実もならなくなり、そろそろお終いかなあ….と思いましたが、
7月後半になると、新しく出た葉が美しい緑色になったので、
これは、いけるかも?と思い、ツルのまき直しをしました。





傷んだ葉を取り除き、ツルをいったんほぐして、
もう一度下からまき直しします。

すると、8月に入ってすぐ、曲がったキュウリがなりました。



くるんと曲がったキュウリは、土壌水分の乾湿の差が大きいほど出来やすいです。
仕方なく、6号から8号の鉢に植え替えてみました。
水分調整に気を遣いながら育てていくと….



8月の中旬にまっすぐなキュウリがなりだしました。

季節は秋にむかっています。
朝晩が涼しくなると、植物たちも体力が回復してきます。

またたくさん出来るといいなあ….
このキュウリのつよし君は、草丈わずが50cm。葉張りをいれても30cm程度。
実際の草丈は2m以上あるのですが、45cmのあんどん支柱に絡めているのでコンパクトなのです。
通常は種まきからおよそ150日で栽培終了と言われています。
この子はすでに240日。
どこまで頑張れるのだろうか?

実っている間は定期的に肥料(液肥がおすすめ)を与えること、古葉は早めに取り除きます。
それと割り箸で何度も土に穴を開け、強制的に空気を送りました。
もちろん、毎日害虫の駆除。古株になると、病害虫に狙われやすくなります。
こまめに状態をチェックしながら、年内にあともう少し収穫したいな。
頑張れ〜つよし君。
さて、どこまでいけるか….こうご期待だね。

基本的に野菜の栽培法は、畑が基本となっています。
畑のやり方と、プランターで育てる栽培法は違っていても良いのだと思っています。
自分らしい、自分が育てやすい方法で楽しんでいただけたら、
もっとみんなの園芸が楽に出来るのではないでしょうか。
収穫する楽しみも大切ですが、ぜひ、育てる楽しみについても考えてみてくださいね。










深町貴子