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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「自然な姿で…」

2016.12.29 Thu

こんにちは深町貴子です。

クリスマスが過ぎると、バタバタとお正月の用意に忙しい日本です。
年が明けるまで数日しかありませんものね。
できれば新年は綺麗に…
そう思ってガーデンの植え替えや、寄せ植えを新しく作る方も多いでしょう。
こんなに寒いのに植え替えして大丈夫?
そうですよねえ….

この時期の花苗は生産者がハウスで管理していた苗も多いです。
春咲きの早出しとなると、寒さにまだ慣れていないことも多いので、
注意が必要です。



植えるときには午前中に。
できるだけ暖かい日を選んでください。
水やりも慎重に….
翌日凍ってしまったら、植物はダメになってしまいます。
突然の寒さには対応できません。
翌日寒くなることがわかっていたら、植え込んだばかりの寄せ植えは軒下に、
花壇には不織布をかけておくだけでも違います。

越冬する花苗は、できれば徐々に寒さに慣らしておくと、
失敗が少なくてすみます。
例えばガーデンシクラメン。
真冬でも店頭に並んでいる植物ですが、
寒い時期に植えると、直ぐに溶けたようにグッタリしてしまうことがあります。
それは急激な寒さに対応できなかったからです。

ガーデンシクラメンは品種改良された園芸種です。
ミニシクラメンと寒さに強い原種のシクラメンとの掛け合わせで生れました。
しかし、理想は最低でも5℃以上は欲しいところ。
寒さに強くても霜は苦手です。
だから株元にはマルチングをしてあげましょう。

ガーデンシクラメンをお庭の花壇やプランターに使うと、
ぎっしりと詰めて植えたくなります。
花で模様を作るように一定間隔で植えるのもステキですよね。
でも、私は自然な姿で咲いているように魅せるのが好きです。
チラホラ咲いている姿が、静かで落ち着くのかな。笑



植付けが遅れてしまった場合は、毎日の水やりを控えめにすることと、
株元にマルチングをして地表を覆い、
地温を上げる努力をしましょう。
枯れ葉や枯れ草でも良いですし、ガーデンチップでも良いです。
寒風が当たりにくい場所を選ぶのも大事です。

環境は見ただけではよくわかりません。
実際にその場所に立ってみて、風や温度を肌で感じるのが良いです。



落ち葉の間から花が咲くと、
花が自然に守られて咲いているように見えませんか?
かえってそれが力強くも感じるのです。

最近、都会では落ち葉は公園でしか見ることができなくなり、
路上にはほとんど落ちていません。
落葉する前に街路樹の枝はほとんどが切られてしまうからです。
都会では落ち葉の上をカサカサと音を立てながら歩けないのですね。
ちょっと寂しいです。

きっと枯れ葉が土の上に落ちれば、
冬の間に植物や昆虫たちを寒さから守り、
時間と共に分解され、栄養たっぷりの腐植土となるのに。

えっ?
落ち葉が集まってきたら、昆虫もやってくるんでしょ
では、害虫もやってくるってことじゃない?
やだあ〜。

まあ…そうですね。
そういえば、誰かに
「植物の近くの土には、スプーン1杯で億単位の微生物が住んでいるのよ」
と話をしたら、
「きゃー、気持ちが悪い、もう土が触れない!」って言った人がいたっけ…
こんなに花が好きなのに、そんなに虫が嫌いなのね…って思いました。

害虫という言葉は、農業生産上、害がある虫や、
人が虫に対して持っている嫌悪感からくるもので、
虫からすれば、人間は全て大きな害虫?なのかもしれませんよ。
私たちは昆虫たちの力、微生物たちの力をかりて土が作られ、
その土で農業や園芸を栽培しているわけです。
生物は互いに助け合って生きているってことを忘れないで。



私たちの愛する花も緑も野菜も…
育てているのは自然の力。
決して自分だけの力では育てる事ができないことを
いつも心のどこかに置いておいて欲しい。
私も、虫を見つけて、「ぎゃー」と叫ぶことはあるけれど、
ちゃんと感謝しているのです。



植物の美しい色や形は、自然が作り出すものです。
自分好みの色や形ではなかったとしても、
自然が作り出してくれた色や形に感動して、感謝しましょう。

自然な姿を意識して庭作りをすると、
植物が伸び伸びと育つでしょうし、
きっと自分自身も楽になります。
来年もゆるりと園芸を楽しんでいきましょう。











深町貴子