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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「わたしのベランダ散歩」

2017.2.15 Wed

こんにちは深町貴子です。
少し間が空いてしまいましたが、今年もAGRIOさんにお送りしますよ。
今は冬ですが、もうすぐそこまで春がやってきています。
林を見ると、なんとなく枝が充実してきているような、
桜の枝先がなんとなく膨らんできているような…そんな気がします。



梅の花が咲き、水仙の香りが漂えば、
様々な植物たちが長い眠りから覚め、密かに活動をし始めます。
もちろん、木々の芽吹きはもう少し先…
だから、野鳥たちは個人のお庭を狙います。
花壇の花や家庭菜園の野菜は、小動物たちにとっては希少な食糧源。
あらあら、こんなに食べちゃって….



これは芽キャベツの頭。
頭じゃないか?
上部の葉ですね。
冬の野菜は甘くて、コクがあって、本当に美味しいですものね。
野鳥がよく啄んでいます。
我が家のベランダにはヒヨドリ、スズメ、メジロが集団でよく遊びに来ています。
たまにセキレイがトトト…と歩き、冬の間はジョウビタキを見かけることがあります。
ウグイスももうすぐ鳴きますよ。
野鳥に詳しいわけではありませんが、私にとっては冬の楽しみの一つです。
ベランダに少しだけ野菜を残しておくと、バードウォッチングができるので、
ちょっと楽しいのです。

鳥たちは啄みやすいものから食べているようなので、
肝心の芽キャベツには目もくれず….
我が家では、上手に芽キャベツを鳥とシェアしているような?
あ、食べてほしくないものは、こうしてちゃんとネットをかけています。





こうしておけば葉も芽キャベツも綺麗に残っています。

でも、なんだろう。
鳥に食べられていても、食べられていなくても、
見た目がきれいなだけで、芽キャベツはちゃんとできるんだなあ…..と
時々思います。
人間が神経質過ぎるのかなあ。
撮影に耐えられる野菜を作りすぎるのだろうか?
もちろん、上部の葉を守ったほうが、大きな芽キャベツはできます。
けれど、鳥とシェアしたって、芽キャベツが収穫できないわけではないのですね。

私は虫とどうやって共存していくか?をよく考えていますが、
鳥ともうまく付き合えるような気がしています。
実際に、鳥たちは葉だけを食べているのではなく、
葉の間に隠れている昆虫を食べてもいるからです。

園芸は自然とともにあることを忘れてはダメですね。
土も肥料も、虫も鳥も…
私たちが園芸を楽しむことは、自然の一部を借りているのと一緒。
だから、上手に付き合わないとね。

ちなみに無肥料で芽キャベツを放置するとこんな感じ。



プランターの土にまったく養分がないということが、よく分かります。
芽キャベツが大きくならない….という人は
こんな感じなのではないでしょうか?
寒くなる前(秋までに)にしっかりと肥料を施し、
茎や葉を大きく育てることで、芽の数や大きさが決まります。

冬のベランダは楽しいです。
作業することはあまりないけれど、
訪問してくれる小動物にワクワクしたり、
散歩すると新しい発見があったりしますからね。

ほら、みてみて!
本日のパプリカです。



収穫しないでおくと、茎についたまま枯れます。
でも、考えてみて。
植物は枯れていても、この中身のタネは生きているんだな….って考えると、
すごいなって思いませんか?



冬の間もこうして果皮の中で守られ、春を迎えるのです。
気温が高くなり、雨が降れば、
腐ってポトンと地面に落ちて、きっと芽が出てくるのでしょう。

考えてみれば、自然のサイクルなんだから、当たり前なのですが、
早く、きれいに、効率よく….ばかりを考えていると、
なにか大切なものを見失ってはいないかと、不安に思います。

たまには、人間の眼ではなく、
虫や鳥の眼で、自分の園芸を見てみるのも悪くないですね。











深町貴子