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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「梅雨時の植物」

2014.06.15 Sun

こんにちは。深町貴子です。


ベランダのミニトマトに色がついてきました。
緑から少しずつ色が変わっていく姿が見られるのも、
家庭菜園ならではの楽しみ方ですね。

全国的に梅雨入りしましたが、
6月の半ばには梅雨の中休みのような、
晴天がしばらく続いたりします。
でも、雨が止んだからと言って、土のなかにはたっぷりと水分が残っています。
山の斜面から水がいつまでも流れているような時には、
土砂災害の危険性もあるので、注意しましょう。
日頃から土の様子や景色の違いに敏感になっておくといいですね。

さて、梅雨の季節こそ植物を育てているうえで、
気をつけてほしいポイントがいくつかあります。
今日は、そのお話をしましょう。

土がいつもしっかり湿っているから、
梅雨時は水やりしなくていいわあ、、、なんて考えている方!
ダメですよ。
大雨の翌日は猛暑になることが多いこの季節、
土のなかの水分によって、大気の温度が伝わりやすくなり、
地温(土の中の温度)が異常温度になることがあります。



(写真は地中温度計)

とくにプランターでは
植物がお風呂に入っているようなもの。
地温が高いだけではなく、
水分が多過ぎて根が呼吸できなくなっていることもあります。
また、土の中の余計な水分は、気温が上がると蒸発するために
土の表面に向かって水分が上がってくるのです。
それは株元が蒸れやすくなっている状態。
下葉から溶けたように枯れ上がることも少なくありません。

そんな時は新しい水を流してあげると良いですよ。
水が流れることで、停滞していた水も動き、空気も入ります。
以前のブログにも書きましたよね。
水やりの最大の目的は、土の中に空気を入れること。

ハス口をつけた優しい水やりで、鉢底から出るまでしっかりあげてみましょう。



雨が多いと水やり以外に、
もう一つ気をつけなければならないことがあります。
それは、病気の発生を防ぐこと。

病気は風が胞子を運んできたり、
昆虫が媒介して病原菌を伝染させていたりしています。
そしてもう一つの発生源が土です。

土の中には様々な菌が住んでいます。
気温が高くなり、水分が多くなるといい菌も悪い菌も活発になります。
強い雨がふると、泥が跳ねっ返り、
病原菌がついた泥が下葉の葉裏に付着したり、果実に付着します。
すると、ちょっとした傷口や気功から、菌が植物体内に侵入し、
病気になるんです。

日頃から下葉を整理して、蒸れや泥の付着から守ることや、
マルチングをして泥が跳ね返るのを防いだり、地温上昇を抑えるようにしましょう。


株元にグランドカバーになるような地被植物を植えるのでも、
マルチングと同じ効果が得られます。
ただし、その地被植物も葉が増えすぎると蒸れて枯れてしまうので、
時々刈り込みをして、涼しく保つことも忘れずに、、、

今、しっかりマルチをしておくと、
梅雨明け後にくる水不足の時には、湿度を保って、
水切れから守ることも出来ます。

土の上って、本来は様々な植物が住んでいて、
土をたくさんの植物で守っているはずなんですよね。
買ってきた土にいつの間にか慣れてしまうと、
雑草が生えていない状態が当たり前になっていませんか?
畑もね管理しやすいように栽培する植物以外は
綺麗に取り除かれていることが多いと思います。
むき出しの土は乾燥すると風で砂埃をあげ、
土が減ってしまうことだってあるんです。

多くの下草が生えていれば
地表を高温や乾燥から守り、
そこで小さな昆虫たちが隠れたり、
雨宿りをすることだってあるでしょう。
その中には害虫を食べてくれる益虫だっているはずなんです。


ということで…
次回は昆虫のお話をしますね。
ではまた…お楽しみに〜


深町貴子