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深町貴子(ふかまち たかこ)

神奈川県川崎市生まれ。
東京農業大学短期大学部卒業
園芸家
有限会社タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役
グリーンショップ「GREEN LIFE TAKA」オーナー
東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師(バイオセラピー論・園芸療法概論)

現在、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」講師のほか、NHK「あさイチ『グリーンスタイル』」コーナー講師としても活躍中。
http://www.taka-greenfields.com/site/

■今までのブログ一覧


「水やりの極意」

2014.09.01 Mon

こんにちは。深町貴子です。
 

8月後半のブログは私も夏休みを頂いておりました。

お久しぶりです!

9月に入りましたね。

涼しい風が時折吹くようになりました。

夕方には秋の虫も聴こえるようになりました。

今年は夏が短かったような気がしますが、

どうなのでしょう?



     

メロンも食べごろになりました。


ここでブログを書き始めて、ちょうど1年になりました。

秋の種まきのお話から始まり、

思ったことを言いたい放題…?

少しは….いや時々でも…皆様のお役に立っているといいなあ〜



1年を振りかえって、読み返していたら、

おや?大事なことを書いていませんでした。


それは水やりについてです。

当たり前にわかっているようで、

実は理解できていないこともありますよね。

ということで、今回はそんな基礎的なお話です。



「何日に1回水をやればいいですか?」とよく聞かれます

う〜む。

では、あなたは水を飲む回数を決められますか?と尋ねます。

のどが渇いた時に飲むのでは?

だから答えは決められないのです。


水は私たちにとって大切なものです。

植物に限らず、生物はみな、水が無ければ生きていけません。

水があるから栄養を運ぶことができ、体温を調節することもできます。

水があるから柔軟性のある体になり、成長することができるのです。

そして、植物にとっては光合成を行う原料として必要不可欠なものです。


でも、だからと言って水の中にいたら、私たちは息ができず溺れてしまいます。

それは地上の植物も同じですよね。本来、水は必要な時に必要な量が欲しいのです。


私たちはどんな時に水を必要とするでしょうか?

どんな時にのどが渇きますか?

暑くて汗をかいた時や

辛いものを食べた時?(笑)

空気が乾燥していている時も水分が欲しくなりますね。

それを植物に置き換えると良くわかります。



 

気温が高くなると蒸散により水分が奪われるので、いつもより多くの水分を必要とします。

肥料を与えすぎると、塩分が濃くなるので水分を欲しがります。

強風の後は、水分が奪われて乾燥するので、水分を補う必要があります。


つまり、常に一定量の水分を欲しているわけではなく、毎日変化しているのです。

栽培上のマニュアルはありません。

植物によって、置かれている環境によって、季節によっても違いますからね。

「何日に1回」なんて決めてはいけないのです。


それより、植物がどんな時に「水が欲しいよ!」と叫ぶのか?理解しながら、育ててみましょう。

必要な時を理解して、萎れる前にタイミングよく水やりができると、植物の体力を落とさずに上手に育てることができます。



植物の根は水を吸収するだけではありません

水やりと言っても、植物がすべてを吸収するわけではありません。

そのほとんどは流れて排出されます。

それなら、もったいないからと言って、少ししか水やりしていない方はいませんか?

これでは、根まで水分が行き渡らずに枯れてしまいます。しかも土の中は汚れた空気が溜まっているかも?

また必要以上の水を大量に与え続ければ、植物は呼吸をすることができずに溺れてしまいます。

植物の根は24時間呼吸をしている場所でもあるのです。

根の組織が死んでしまえば、水分の吸収も、呼吸もできなくなり、植物はやがて枯れてしまいます。

本来は土が乾くことで、土の中に空気の隙間ができ、呼吸ができるようになっています。

水やりをしながら、水で空気を取り入れたり、押し出したりしているのです。

だから鉢底から流れ出るまで、しっかりやらないといけないのです。

土の中に新鮮な空気をたくさん取りこむことで、根が呼吸しやすくなり、よく根が張り、結果…健全な株に育ちます。



水やりのタイミングは葉っぱを触って確かめよう

植物にとって水は体そのものと言ってもいいでしょう。9割以上が水でできています。
水があるからシャンと立っていられるの。体の中の水分が減っていけば、張りが無くなるから、ヘナヘナとしてくる…
つまり萎れてくるのよね。体の水分バランスが良いときには、葉の先までピンとしているでしょ。
だからね、毎日土や植物を見るだけではなくて、葉を触ってほしのです。
毎日触っていると、ある時、「おや?昨日と違う?」と気がつきますよ。
柔らかくなっているのが触覚でわかるからです。植物も人間もスキンシップが大事なのですね。

植物とお話がしたい

植物がどんなふうに生きているのか、成長するためのメカニズムを理解することは、植物の声を聴くのと一緒です。
私はみなさんに、植物といっぱい会話をしてほしいと願っています。もちろん、いつも理解できる訳ではないかもしれません。
それでも、寄り添って、理解しようと努力することで、その気持ちは植物に伝わっていると信じているのです。

真夏の酷暑を乗り越えるといつもそんな風に思うのです。
たぶん、暑い夏を一緒に乗り越えた!と、お互いに達成感でいっぱいになるからだと思います。

えっ?
植物が達成感を感じるかなんてわからないじゃないの?

いいえ。わかると思います。
だって、彼らは真夏でひどく傷んで、疲れていたのに、乗り越えたものだけが、新しい葉を展開し、花を咲かせ、実を結んで応えているの。みんなのお家の野菜たちもそうではありませんか?
夏の間に葉を落としてしまったトマトやゴーヤーが、今、花を盛んに咲かせています。

暑さが通り過ぎるのをひたすらじっと待っていたのですよね。これからはもっと回復して、きっと元気を取り戻すでしょう。
植物ってすごいなあ〜。あ〜私も夏バテから、早く回復しなくては!
植物と接していると、自分もまた元気をもらい、明日への大きな活力源になっています。

さ!これから秋のタネまきや植え付けなどで忙しくなる季節です。
冬野菜はじっくり育てて楽しめるものが多いですね。
毎日、種苗のカタログを開いては、ワクワクして、どれにしようか悩んでいます。


 

今年は秋の訪れが早そう??できるだけ育苗作業はお早めに….寒くなってからでは、間に合わないものもありますからね。

ではまた!



 

深町貴子